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「債務整理」に関するお役立ち情報

個人再生と任意整理の違い

  • 文責:所長 弁護士 田中浩登
  • 最終更新日:2024年1月18日

1 個人再生について

⑴ 個人再生とは

個人再生とは、自己破産と同じく、裁判所で行われる債務整理の手続きの一つです。

「個人再生」という名称のとおり、個人(自然人)を対象とする手続きですので、個人事業者の方も個人再生手続の対象となります。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という、2つの種類があります。

個人再生では、法律の規定に従って圧縮された債務を、裁判所が認可した再生計画に従って返済すれば、残りの債務については免責されることになります。

例えば、5社から合計430万円の借入れがあり、財産はめぼしいものがない場合には、100万円を原則として3年間、最長で5年間の分割で返済すれば、残りの債務330万円は免責されることになります。

⑵ 個人再生のメリット

① 債務が圧縮される

個人再生の第一のメリットは、法律の規定に従って債務が圧縮されるという点です。

任意整理の場合、通常は将来発生する利息は免除してもらえるケースが多いですが、元金の減額を受けられることはほとんどありません。

個人再生の場合、元金が圧縮されるため、任意整理と比較して返済負担を軽減する効果が大きいと言えます。

② 任意整理が難しい貸金業者の債務も整理することができる

第二のメリットは、任意整理が困難な貸金業者等の債務についても整理することが可能である点です。

任意整理の場合、一部の貸金業者等が任意整理に応じなければ、債務整理の目的を達することができません。

しかし、個人再生の場合、小規模個人再生において、再生計画案を否決するには、一定割合の再生債権者の不同意が必要となります。

小規模個人再生で、再生債権者が5名、再生債権額が合計500万円のケースについて考えてみます。

債権者のうち、50万円の債権を有しており、任意整理には非協力的であったA社のみが再生計画案に同意しなかったとしても、他の4名の債権者が同意すれば再生計画案は認可され、A社もそれに従わなければならないということになります。

また、給与所得者等再生の場合は、再生計画案について、再生債権者による議決を行う制度はありません。

⑶ 個人再生のデメリット

① 整理の対象とする債務を選ぶことができない

個人再生のデメリットとしてまず挙げられるのが、整理の対象となる債務を選ぶことができないということです。

例えばローンで自動車を購入した場合、自動車のローンも個人再生手続きの対象となります。

この時、自動車にローン会社の所有権留保が設定されている場合には、自動車はローン会社によって売却され、その代金はローンの返済に充てられることになります。

また、親族や友人からの借入れがある場合には、それらの債務も個人再生の対象にしなければなりませんので、債務整理をする事実が知られてしまうことになります。

② 裁判所へ提出する資料等を準備しなければならない

裁判所で行われる個人再生の手続きでは、家計表を作成したり、財産に関する資料を準備したりする必要があり、任意整理よりもかなり労力を要します。

③ 時間が掛かる

個人再生の場合、手続きに要する期間は、任意整理の場合と比較して長くなります。

④ 費用が掛かる

さらに、弁護士に依頼して個人再生の手続きを行う場合、通常は任意整理の場合より多くの弁護士費用が掛かります。

加えて、個人再生委員が選任される場合には、そのために15万円から20万円程度の費用が必要になります。

⑷ 個人再生が適切なケース

個人再生では、返済すべき債務額が圧縮されるため、通常は任意整理よりも月々の負担額は少なくなります。

よって、任意整理を行った場合に想定される月々の返済額では返済が厳しい場合、個人再生を選択することが適切であるということになります。

なお、個人再生では、最低100万円(ただし負債額がこれを下回る場合はその金額)を返済する必要があります。

例えば負債総額が150万円程度の方の場合、弁護士費用等も考慮すると、個人再生を行うメリットはあまりありません。

つまり、個人再生の手続きは、負債総額がある程度の金額まで膨れ上がっている場合に適切な方法であると言えます。

2 任意整理について

⑴ 任意整理とは

任意整理とは、個人の方が行う債務整理の手段のひとつで、債権者と個別に交渉して返済方法を取り決めるという手段です。

個人再生とは異なり、裁判所等の第三者機関が関与することはありません。

⑵ 任意整理のメリット

① 整理の対象とする債務を選ぶことができる

任意整理の第一のメリットは、整理の対象とする債務を選択できることです。

例えば、住宅ローン、自動車ローン、親族からの借り入れ等を除外して債務整理を行うことができます。

ただし、個人再生でも住宅資金特別条項を利用することにより、住宅ローンの返済を継続しながらその他の負債を整理することが可能です。

② 手続・費用の負担が比較的少ない

任意整理の第二のメリットは、簡易な手続きで債務整理ができ、費用もそれほどかからないことです。

弁護士に任意整理を依頼した場合、弁護士が債権者に受任通知を送付して債務の額を調査し、和解案(返済計画案)を作成して債権者と交渉しますので、債務者の方に書類等を準備いただくことはありません。

ただし、和解交渉前に1か月の収支表等の資料の提出を求めてくる業者もあるため、その場合には書類を作成していただくことになります。

また、任意整理については、その内容についてある程度の慣行が形成されており、一般の交渉事件と比べて交渉も容易ですので、費用も比較的安くなっています。

⑶ 任意整理のデメリット

① 貸金業者が交渉に応じないケースがある

任意整理のデメリットとして、業者が交渉に応じないことがあるという点が挙げられます。

任意整理は債権者との個別の交渉ですので、交渉に応じない業者が存在する場合には、任意整理による債務整理は困難になります。

例えば、負債総額500万円のうち、400万円の債権を有する業者があり、当該業者に対する返済額が返済総額の大部分を占めているケースについて考えてみます。

この業者が任意整理に応じない場合、残り100万円の債権者について任意整理を行っても、月々の負担額はそれほど減らないということになります。

② 交渉の結果が予測しにくい

①と関連して、任意整理では、交渉の結果が予測しにくいというデメリットもあります。

通常の場合では60回程度の分割まで応じる業者でも、取引期間が短い場合、つまり業者が利息収入をあまり得ていない場合は、短期間での返済を求めてくることもあります。

この場合、当該業者について、債務整理前よりも月々の返済額が増えてしまうこともありえます。

③ 元金の減額は難しい

さらに、任意整理では将来利息の免除が限度で元金の減額は難しいことが多いです。

また、一定割合の将来利息の付加も求めてくる業者も存在します。

⑷ 任意整理が適切なケース

任意整理では、元金の減額は難しく、月々の返済額を大幅に減額することは困難です。

そのため、毎月の返済が少々厳しくなってきた、というタイミングの方にとって適切な手段です。

例えば、負債総額250万円・債権者数2社で、毎月9万円の返済は少々厳しくなってきたものの、6万円程度なら問題なく返済を続けられるというケースです。

この場合、債権者数も少ないですので、任意整理という簡易な手続きでの債務整理が適切です。

しかし、債権者数が多く債務の金額も大きい方ですと、任意整理を行った場合の返済見込額を予測することが難しいということもあります。

そのため、まず個人再生を検討するのが適切です。

3 個人再生と任意整理のどちらが適切か迷ったら弁護士へご相談を

任意整理は債権者と直接やり取りをするため、ある程度分かりやすい手続きです。

一方、個人再生は裁判所で行われる手続きで、法律で定められた要件を充たす必要があり、一般の方には分かりにくい点もあります。

どちらの手続を選択して債務整理するのがいいのかについては、ご自身の借金の額やお持ちの財産、毎月の収支やいくらなら返済できるのかなどのご事情によって異なります。

任意整理か個人再生か、どちらの方法で債務整理をすべきか迷った場合は、当法人にご相談ください。

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